「NS乳酸菌」の発見・開発者
人類遺伝学博士 金鋒

《プロフィール》

金鋒(JIN FENG 日本名:きんほう モンゴル名:ALTAN ULANTUG)

1956年、中国・内モンゴル自治区フフホト市生まれ。
1987年東京大学理学部修士、博士課程修了。人類遺伝学博士。
中国科学院教授(心理健康重点研究室)や、オーガニック国際認証機関のQAI(Quality Assurance International)の検査官等を歴任し、行為生物学及び人類微生物共生共存の生物学的研究に従事。金鋒博士が発見した「NS乳酸菌」の基礎研究及び応用研究は、中国国内外から注目を集めている。特に「共生菌」と人間の精神状態の関係に着目し、「腸脳相関」に関する研究多数。2009年より、NSバイオジャパン(株)の顧問として「NS乳酸菌」関連商品の研究・製造指導を行う。

今、注目される、第二の脳「腸脳」

 腸は、脳からの指令が無くても独立して活動できる唯一の臓器であり、「腸脳」と呼ばれる神経ネットワークを持っています。1998年、アメリカの神経生理学者マイケル・ガーション博士が著書『セカンド・ブレイン(第二の脳)』の中で、腸と脳の活動は独立しており、神経伝達物質「セロトニン」の大部分が腸で作られていることを明らかにしました。

 セロトニンはやる気や幸福感をもたらすホルモンで、自律神経や人間の精神活動に影響を与えます。腸内でセロトニンを作るときに葉酸やナイアシンなどのビタミン類が必要になりますが、近年の研究で乳酸菌がこれらのビタミン類を作りだしていることがわかっています。

 また、セロトニンの約9割が腸に由来しますが、セロトニンは脳にも存在します。乳酸菌が作りだす上記のビタミン類は、セロトニン前駆体「5-HTP」を腸から脳へ送り、脳のセロトニン生成を助けていることも明らかになりました。

 乳酸菌は単にお腹の調子を整えるだけでなく、腸や脳の動きに密接に関係しているのです。

「共生菌」(有益細菌)は人類健康の基礎

 人間の身体には約60兆の細胞があると推定されています。健康な人間には細胞数の100倍もの微生物が存在し、人間はこれらの微生物と共生しています。人間は植物よりも高度な生物だと思われていますが、遺伝子数という観点から比較すると、例えば小麦の遺伝子は10万個に対し、人体を構成する遺伝子はわずか2万個余りしかありません。人間が出生するときの様相は遺伝子が決定し、出生後の健康・病気・寿命・精神状態等は我々と共生している微生物によって決められることが多くあります。人間の身体は「共生菌」(有益細菌)に覆われており、皮膚や消化管、生殖器、呼吸器等が共生菌にコーティングされると、ウイルスや病原菌等が付着しにくくなり、健康状態を保つことができます。

 一般に腸内細菌のバランスは善玉菌:日和見菌:悪玉菌=3:6:1とされています。日和見(ひよりみ)菌は、善玉菌が多いときは善玉菌の味方をし、悪玉菌が増えたときは悪玉菌の味方をすると言われます。腸内は善玉菌と悪玉菌の割合とバランスで健康状態が保たれるため、悪玉菌とされている菌にも存在意義があります。それは、人間にとって脅威となる他の病原菌やウイルスの感染を防ぐ役割です。

 常に抗生剤や防腐剤、保存料が入った食品を摂取し、有益な微生物が減少してしまうと、まるで地球のオゾン層が破壊されて穴が開き、紫外線が地球にダメージを与えるのと同じように、無菌状態の菌に耐性のない病原菌が入りこんで増殖しやすい状態になります。そして、ノロウイルスや腸管出血性大腸菌感染症(O157、O111)など様々な病気にかかりやすくなってしまうのです。

 有益菌も病原菌も生命体で、抗生物質などの薬剤による選択殺菌は不可能です。

 腸内のバランスが崩れたら、善玉菌優勢の環境を作り出し、自らの腸をきれいにコーティングしましょう。
 腸内空間に有益菌が多ければ、病原菌は少なくなります。腸内環境のバランスが崩れたら、乳酸菌を含む食品やサプリメントを賢く利用して、善玉菌の割合が多い状態に保つことが大切です。

 NS乳酸菌の故郷であるモンゴル大草原は世界でも有数の自然環境が残っており、人間や生物にとって厳しい環境です。過酷な環境を生き抜いた生物は必然的に力強くなります。NS乳酸菌はこうした環境でも生き続けているバクテリアで、消化吸収力が高く、アミノ酸やセロトニンなどの有益な物質を生成し、免疫力を高めてくれます。健康のために積極的に良い乳酸菌を取り入れて、微生物と共生していきましょう。

循環型社会の構築

 私は若い頃、農薬中毒で死にかけた経験があります。生命科学を生業としてきた立場からも、かねてより食の安全には関心を持ってきました。農薬や化学肥料を使わない農業を模索し、牛や豚などの畜産においても、抗生物質の代わりに乳酸菌を使用した実験を行うことで一定の成果を得ています。


 化学物質に依存した無責任な農法・飼育ではなく、微生物の力を活用して安心安全な食物を作ることは、環境や人間にとって大きなメリットがあります。人間と共生している微生物を殺すケミカルの使用をやめ、食の循環と微生物連鎖を基軸にした循環型社会の構築のために、NS乳酸菌を役立ててほしいと思っています。

■著書

  • 『乳酸菌革命』評言社、2009年
  • 『「NS乳酸菌」が病気を防ぐ―モンゴル大草原が生んだ驚異のバクテリアパワー』PHP研究所、2012年。
  • 『細菌能治病吗? -金锋博士如何看细菌』馮清編著、中国医薬科技出版社、2018年。

■論文

下記サイトを参照ください。